●労働審判手続とは
労働審判手続とは、解雇や給料の不払など、個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを、その実情に即し、迅速、適正かつ実効的に解決するための手続です。
民事訴訟とは異なって、非公開で手続きが進められます。多くの労働審判事件は、労働者側から申立てがなされます。
●労働審判の特徴
・迅速性
労働審判手続きは、原則として、3回以内の期日で手続を終結させなければならないと法律で決められています。
そのため、訴訟とは異なり、事件を早期に解決することが期待できます。
・専門性
労働審判手続は、労働審判委員会によって行われます。
労働審判委員会は、労働審判官(裁判官)1名と使用者側の労働審判員1名と労働者側の労働審判員1名によって構成されています。
労働審判員2名が関与関与することから、労働現場の知識を紛争解決に活用することができ、紛争の実情に即した適正な解決を図ることが期待できます。
・柔軟性
労働審判手続きは労働審判委員会を交えた話し合いが行われます。
この話合いの過程で、お互いにある一定の条件について合意することができれば調停が成立することになります。
調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下すことになります。審判を下すにあたっては、労働者が金銭解決を望んでいる場合には、「金銭の支払と引き換えに、労働契約関係が終了することを確認する」といった審判を下すことも可能であるとされています。
このような判断は、訴訟では行えないため、訴訟に比べて柔軟性を有しているといえます。
●労働審判手続き期日の流れ
当事者の方には裁判所へお越しいただき、労働審判委員会からの質問に対して、直接、答えていただく必要があります。1回の期日あたり約1時間から3時間程度の時間がかかります。
通常、期日当日は、1時間程度、労働者と会社側担当者が一緒に手続室へ入室して、労働審判委員会から事情を聴かれた後、交互に手続室へ入室し、事情や解決に向けた合意条件を聴かれるのが通常の流れになります。
●栃木県内で労働審判手続きを行っている裁判所
栃木県内では、宇都宮地方裁判所(本庁)でのみ労働審判手続を行っており、支部の裁判所では、労働審判手続をおこなっておりませんので、労働審判手続を申し立てる際には注意が必要です。