保釈とは、一定金額の保証金を裁判所に納めることを条件として,勾留されている被告人の身柄の拘束を解くことをいいます。
ポイントは「被告人」の身柄の拘束を解く点です。すなわち、起訴されてからでないと保釈することができないのです。
弁護人として活動していると逮捕、勾留されている被疑者の方から、「保釈の請求はできないのでしょうか?」と聞かれることがありますが、刑事訴訟法上、起訴「前」の保釈は認められていませんので、保釈請求はできないという回答になってしまいます。
保釈が許可されるまでのプロセスは以下のとおりです。
① まず、裁判所に対して保釈請求書を提出します。
② 次に、保釈の請求を受けた裁判所が、検察官に対して、保釈についての意見を求めます。
③ 検察官からの意見を踏まえて、裁判所が保釈を許可するか否かを決定します。
保釈の許可を得るまでには以上のようなプロセスを経なければならないことから、起訴された当日に保釈請求書を提出したとしても、当日中に保釈許可決定が出るとは限りません。
また、保釈許可決定がでたとしても、保証金を裁判所に納めなければなりません。
その額は150万円以上となるケースが多く、ATMからの一日の引き出し限度額を超えてしまうため、事前に保釈が許可されることを見越して用意しておかなければならない事案も多く存在します。近親者が保証金を用意するケースが多いと思いますが、近親者に仕事がある場合には、すぐに保証金を引き出すことが困難な場合もあることから、事前に弁護人の預り口口座で保証金を預かってもらっておき、保釈許可決定が出たらすぐに弁護人が納付できるように準備しておくこともあります。
以上のように、起訴された後に、保釈請求して、身柄を解放するためには、被告人とその協力をしてくれる家族などの第三者と弁護人との連携が不可欠なのです。