持続化給付金の詐欺について

 

1 持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染症による経済的影響への緊急経済対策の一施策として、2020年に実施された、中小企業には最大200万円、個人事業主らに最大100万を支給する給付金を指します。

2 個人事業主ではないのに、個人事業主であるかのように装って、税務申告書類を偽造し持続化給付金を受給する行為は刑法246条1項の詐欺罪に問われます。

3 近頃は、ネットニュースにおいて、持続化給付金の不正受給を行ったとして、逮捕、起訴され裁判となった例を目にすることが多くなりました。
このような持続化給付金の不正受給を企てる首謀者らは、自らの手を汚すことなく、「弁護士や税理士が絡んでいるから安全な案件である。」などとうそを言い、事情を理解していない人らを巻き込んで、その人ら  には手数料として3~5万円を受け取らせるだけで、受給額の残りは全て首謀者らに手渡さなければならないという首謀者→子→孫→ひ孫という階層構造を作り上げています。
儲け話には必ず裏があることを忘れずに、甘い言葉に騙されないように注意が必要です。

4 それでは、起訴された場合には裁判所でどの程度の刑が言い渡されるのでしょうか。以下に、実際に言い渡された量刑を記載しますので、ご覧ください。(下記記載の量刑は報道機関の報じたニュースを引用しています。)
 ⑴ 那覇地裁  受給額300万円 懲役2年6月 執行猶予4年
 ⑵ 那覇地裁  受給額100万円 懲役1年6月 執行猶予3年
 ⑶ 鹿児島地裁 受給額300万円 懲役2年6月 執行猶予5年
 ⑷ 神戸地裁  受給額100万円 懲役1年6月 執行猶予4年
 ⑸ 甲府地裁  受給額100万円 懲役2年6月 執行猶予5年
  以上のとおり、どの事案も執行猶予が付されていますが、それぞれ内容が異なり、事案ごとに給付金を返還しているか否か、首謀者的立場であったか否かなどで量刑が異なってきます。

5 自らの犯罪を申告する「自首」をしたり、給付金を返還することで逮捕、勾留を免れることが可能になるかもしれません。また、良い情状を法廷に顕出することで刑務所へ行く可能性を低めることも可能になります。捜査機関への対応に対しては、どのような対応を執るべきか最善の方法は、事案の内容ごとに異なります。そのためには、事案の内容を詳しく把握する必要がありますので、お気軽にご相談いただければと思います。

2021年4月26日

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