【質問】
ゴルフ好きだった父が亡くなり、遺品を整理すると、とあるゴルフ場運営会社のゴルフ会員権証書が見つかりました。その証書には、「金伍百萬円也」と記載されていて、どうやらバブル期に父がゴルフ場運営会社に預託金として500万円を預けたようです。私はゴルフをしないので、預託金500万円を返金して欲しいのですが、取り戻すことは可能なのでしょうか。
【回答】
ゴルフ場会員であった方が死亡した際に、その相続人のうちの誰もがそのままそのゴルフ場を利用しないのであれば、契約を終了し、預託金返還請求権が権利として残り、ゴルフ場を運営するゴルフ場運営会社に対して、預託金の返還請求をすることになります。なお、契約終了事由(死亡、退会の申出など)は、ゴルフ場運営会社の規約に記載されていますので確認が必要です。
遺産分割をしていなければ、相続人全員で請求をすることになり、遺産分割や遺言で特定の相続人が相続することになった場合には、その相続人がゴルフ場運営会社に預託金の返還請求をすることになります。
もっとも、経営が悪化しているゴルフ場運営会社にしてみれば、1人に預託金を返還すると、次々に返還請求をする会員が現れるのではないか、そうなれば経営が立ち行かなくなるのではないか、との懸念から、全額返還には応じるが、申込の先着順で返還に応じているので、返還されるまでには数年かかる見込みである(実際に先着順に返還がなされているかは不明)等と真偽不明の理由を挙げ、支払いを拒否することがあります。
このように支払いを拒否された場合には、ご自身で返還交渉を行うか、弁護士に返還交渉を依頼するか、どちらかの方法を選択することになろうかと思います。
弁護士に依頼をした場合には、ゴルフ場運営会社側は、上記のような主張が、弁護士に通じることはないと分かりますし、弁護士が訴訟提起し判決を得れば全額の返金に応じなければならないため、少々減額した金額を返還する旨の提案を行ってくることがあります。
筆者が担当したケースでも、ゴルフ場会員の相続人であったクライアントがゴルフ場運営会社と交渉をしても、一切返金に応じなかったゴルフ場運営会社が、筆者が代理人となり訴訟を提起したところ、預託金全額の返金に応じたということがありました。
ゴルフ場運営会社は民事再生や破産などをしていて、預託金が返還されないこともありますが、故人の遺品からゴルフ会員権証券を発見した場合には、速やかにお近くの弁護士に相談に行かれるのが得策かと思われます。